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16歳、ケイト・モスの写真集を注文した

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高校生の時代に外国に対してリテラシーがあるような人格をお持ちの方は親が金持ちか、ハーフとかクォーターとして生を授かった類だけだとやや嫉妬めいていた

映画で観てきた外国の人達やTVで映るそれらはあくまで遠い存在であって現実に何かを感じることは難しかった 例えるならば宇宙人グレイなどが子供時代には名詞として登場し人間とはかけ離れた部分に居る眉唾な情景 外国人は【人間|外国人|宇宙人】のような羅列で構成しわたしの頭の中では整理されていた

 

高校生活が始まり1年目の春夏秋冬の中で異性とファッション誌を並んで適当に観る経験もあった 何の雑誌かはハッキリと覚えていないがその異性はバンタン系*1の学校に進学していく先輩たちをリスペクトするようなカヒミカリィが好きで、カラオケではCharaを歌い、古着やフリマで身にまとう道具を仕入れていた商業高校の生徒

 

いまでもファッション誌等のページ順構成はあまり変わらないだろうが、順番にページをめくっていくと後半の方には必ずその時が旬のCDや本、写真集が紹介され評されている 左ページの真ん中左上の方だったかに【ケイト・モス】の写真集が発売される紹介がされいて、それを左隣で肩を並べていたその子が「ケイトはかわいい」と言っていた

 

その日の帰り道、今考えれば当時では洗練されたデザインの本屋さんが存在していた 勿論と表現するのは失礼だし惜しい話だが現在その場所は漫画喫茶に片鱗を遂げ市の人口は減る一方で全くと言っていいほど増えてはいない統計が出ているのに毎日、毎週末大盛況の24時間営業…快活クラブ

当時は黒が基調の本屋と称すればもの珍しく店内は非常に照明が薄暗い田舎の少年には声を発することさえ場違いなんじゃないかと印象付ける空間だった フロアの造りは2階が単行本、コミックが果てしなく並んでいて今では懐かしい行為の”立ち読み”が可能なクーラーが効いた夏の逃げ場だった

 

本に馴染みのないまま中学校3年間までを過ごしてきた自分に外国人モデルの写真集を購入するという行為は案外とハードルは高った どういう手順で買うのかも摩訶不思議で店内を探すという行為は他の水着のそれらの写真集コーナーへ足を運び時間を費やさなければいけないことは子供ながらに瞬時に理解出来たので頭を酷使し予約注文することにした モデル名とタイトルを会計レジにいる大人風なアルバイトさんにメモで書いたそれをお願いした やはり発売前だったらしく予約引換券を頂戴した 正直『ホッとした』あとは待っているだけで既定の期日が来たら予約券を店員さんに渡して会計を済ませれば良いだけで一言も発する必要性がないからだ

 

もう時間軸さえも記憶を掘り起こすのは難しいが、特に問題なくケイト・モスの写真集を本屋で受け取り、料金を払い手にできた

それを一目散に特になんの前触れもなくバンタンに行きたい彼女に渡した 誕生日でも記念日でもない日、なんでもないいつもの夕方17時前くらい その子は学校が終わると飲食店でアルバイトをしていたからだいたいこのくらいの時間帯だったはずだ

薄茶色の本屋で当たり前に購入物を入れてくれる長方形の紙袋から中身を取り出すと彼女は、普通に喜んでいたな

 

もう数十年前のことだから彼女の手元に【ケイト・モス】の写真集があるかどうか不明だが、奇跡的にそれが存在するのであれば私にとってはタイムカプセルのような物だ

だからなんだかケイトモスの近況を報告されるニュース記事は悲しいような、人間なんだから当然の出来事でスーパーモデルだからそういう風に取り上げられ害を告知しているように感じたのが本音だ

yogajournal.jp

 

 

*1:バンタンデザイン研究所は、ファッション、ヘアメイク、デザイン、映像などの分野に特化したクリエイティブ総合専門スクールです。ファッション、ヘアメイク、ブライダル、デザイン、映像分野の総合デザインスクールで、東京、大阪、名古屋にあります。google.com bard