連絡が入ったのは2月の末くらいだった。
年齢と共に訃報という言葉と関わる事が増えてきている。
知人からのLINEにきている受信メッセージ、SMS連絡。
週末の15時から開始とのこと。
場所はその方と時間を過ごしてきた共通のbar。
わたしもその場所に2年ぐらいは時間を費やし、その後もたまに足を運んだ空間。
コロナもあり東京に行くことすら久しぶりだ。
長い間、顔を合わせていない仲間、知人、ゲスト達と会うのは変に緊張した。
15時に間に合うように歩いたが到着は5分程度過ぎてしまった。
歩いている間にいろんなことが頭の中を巡り、汗ばんだ。
なにかをするわけでもないのにbarに近づくにつれ、意味もなく「その会」で時間を過ごす用に自分が発する言葉と行動をイメージトレーニングした。
とにかく緊張していた。
到着すると予想していたより出席者は集まっていた。
歴代のチーフバーテンダーのひとりも既に到着していた。確かこの方は3代目。
あまり誰が来ているかには目をやらず3代目と挨拶をして席に着いた。
遺影にお参り出来るようにセッティングされていたので直ぐにその場へ行った。
去年の6月から酒はほとんど口にしていなかったが、今日は感謝の意味も込めてあの方が好んで飲んでいた酒の1つを口にしようと考えていた。
ここに来るまでにその酒を思い出し…
「…確か”アレ”だったよな」
とボトルデザインを頭にイメージをしていたが対象は違っていた。
私の記憶では【カネマラ*1】正解は【タラモア デュー*2】だった。
あまりに長い間言葉を交わしていない人達との再会。
嬉し、恥ずかし、楽し、大好き…と変な言葉が頭に並んだ。
3代目と談笑していると、4代目も到着した。
この方とも久しぶり。多分、5年は経過している。
お二人は独立され自身のbarを経営されている。
3代目のbarは18年目、4代目のbarは14年になるとこの日に知った。
コロナ禍はとてもとても大変だった話を生で聞くことができた。
他のメンツも徐々に来店し雰囲気は盛大だった。
顔を見、会話するのが5年ぶり、14年ぶり、20年もお互い面と向かってないことに気がつかないゲストもいた。
みんな年を重ねた。子供を授かり連れてきている人もいて、そこに物凄く時間の経過を目の奥に感じた。
最初に連絡を受けた時は正直、出席するか否かは本当に悩んだ。
でも出席して本当に良かった。出席しなかったら後悔しただろう。
故人との一番の思い出は社員旅行、慰安旅行みたいなイベントで那須へ行き…そこでジェットコースターに大人達みんなで乗ったことがあった。
その相席がわたしとお世話になったその方だった。当時は大勢の中のひとりであるわたしを何故かかわいがってくれて多く声をかけてくれていた。
その相席ジェットコースター、スタートからゴールまでの終始をその方はガラケーで私のリアクションを撮影していた。
(私が酷くこの手の乗り物が嫌いでビビりだから。)
この時に撮影した動画を大事にガラケーに保存していてくれて、たまに会うと笑ってジェットコースター動画を見せてくれた。
笑顔が印象的。酒が大好きなのが気持ちよく伝わる人だった。