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最後のページで意識を飛ばされ感無量【太宰治/女生徒】

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 通勤、車から降りて職場へ着くまで少し距離がある。

時間にして約10分。歩く。意外と遠い。駐車場から職場の玄関まで。

 

 その間にスマートフォンkindleを開き、【太宰治/女生徒】を読む。

10分の間で読んだり、ブックマークをしたり、読まない日もあったりするので把握できる内容に限りはある。付随してkindleのブックマーク機能が変に作動して次にアクセスすると前回読んでいた直近のページではない場所を開く。ブックマークをする場所が多すぎる自分が悪いのかもしれない。

 

 【太宰治/女生徒】は14歳の女学生の心情を描いた作品らしい。

私にはまだまだ理解できない部分が多い。読み始め、ずっと女の子が自分の日常を淡々と叫んでいる、報告しているだけのようにも感じた。犬の名前に特徴があり過ぎて少し間を空けて読んでしまうとそれが犬だったのかさえもうる覚えになってしまっていた。

 しかし、読んでいて飽きない文章だ。内容はあまり頭に入って来ないのに定期的に読んでしまっていては、繰り返し内容は把握、理解できない思いをする。

 

 ある時、最後のページに辿り着いた日が来た。

驚いた…

これまでなんだかわからない面持ちで読んでいたのにも関わらず最後のページに書かれている文章を読んだだけで感動した。

意識を持って行かれた。

驚きもあった。

理解出来ていないのにその数行の文章を読んだだけで納得してしまった。

急に頭が真っ白になって職場の玄関に向かっている足が立ち止まった。

少しその文章を読み返した。

正直、何故その文章がそこに登場するのかさえ疑問に感じた。

だが、納得があり、一掃もされた。

そして、読んで良かったという感想が素直にあった。

不思議だ。

kindle側が、発行側が狙って用意したかどうかは不明だがその最後のページはその文章だけが表示される設定になっている。

しっかりと準備が整ったようなクライマックス。

こんなふうに思う人はいないかもしれないが、私にはこの作品が【映画/ユージュアルサスペクツ】を観た時のような気持ちにもなった。

 

 クライマックスは最後の最後に待っていて…終わりの5分から10分がそれまでの2時間を全て覆してしまう。