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自分にも色に固執した時期があった【黄色い家:川上未映子】

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 年齢が20離れているということ。それがどういうことを意味するかは置かれた環境と立場、対峙するお互いによって違いはある。仕事関係…恋愛…片思い…知人…恩師…様々だ。自分が20代の頃に40代と接していても何がどうだなんてことを思ったことはなかった。ただただ同じ人間であるが何かを垣間見えることはなく、年の離れた人であり、お互いのパーソナルスペースへ入り込むことも、入ってくる瞬間も無い気だけを薄く感じていた。30代の時に目に映る50代はもうすでにわからなくなっていた。記憶にないだけで対峙してはいたのだろうが今ここに書けるような情景がなにもない。奇異。

 

 なんとなく頭の片隅に印象づいていた本【黄色い家】衝動買いに近いというか、そうでしかなかったのだろうが4冊購入した中の1冊であり、1番先に読みたいという欲をいちばん抱いていたのにも関わらず、先に読んだ本は別の物だった。満を持してページを捲り始めた【黄色い家】当然のことだがページを捲れば目を右から左に縦に、横に方向を変えていけば左の手に持つ本の厚みは薄く、減少していく。自分の中では気持ち厚味がある本の部類にはいる【黄色い家】だった。本の真ん中、途中ぐらいまでは急ぐ感じ、気持ちがはやる勢いで読み進めたが左手に持つページ数の薄さを感じ出すと読む速度が落ちていくことに気づき始めた。勿体ない精神なのか。惜しいのか。

 毎回おきることではないが読み終えることが惜しくなることを感じる本もある。読み終えたい、クライマックスを感じ肌でリアクションを取りたいと想像も掻き立てる。そんな自分もいる。

 

 色については、過去に自分も固執した時期があった。まだなごりはあるような気もするが。それがナゼ起きたのかはわからない。【黄色い家】の登場人物のような縁などがわかりやすく関連すれば説明もつくが、どうだろう。

確か、小学生の時に読んでいた漫画のギャグで

「藍は青より出でて…」

という文章が引用されていて、その言葉群に自然と惹かれ、いつのまにか選ぶものが青よりに成っていた。

 時に身に纏う服やバッグが青方面一色になった際、会社の同僚に

「あの人、全身青じゃない…??」

とコメントされた言葉が後輩づたえに私の耳に入り、何故か傷つき、その後は少し青を身に着けるのを控えたようなことがあったかもしれない。

 

 【黄色い家】だからか、著者の人となりなのかはなんともいえないが登場するキャラクターの明確さやひとりひとりが印象強くて忘れない描かれ方はとても綺麗だと感じた。シーンの移り変わりも明確で、それなのに流れる文章は首を傾げる。季節感も、情景も当たり前に移り変わり明確。しかし、止まり、変に読み詰まる箇所がなく最後までさらりと辿り着いた。評価する点は読んだ人次第だろうが、私は当たり前に違う作品も読みたいと感じた。【黄色い家】はどうにか実写化して頂き観てみたいものだ。内容から推測するにそれはそれでとてもハードルは高いような気もするが希み、願う人は少なくないはずだ。

 

 中盤…登場するBGM、アーティストが年代的に合致し過ぎていてその時代を思い返してしまうことに頭が切り替わるほど鮮明に描かれていた。そういった部分はニヤリともクスッとも笑みがこぼれる瞬間であった。

 

 最後に【黄色い家】青い本のカバーを捲ればとても黄色い本と成る。