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ジョーカーを引いた結末|映画【三度目の殺人】

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 犯人と思われる人を間に置き、弁護側と検察側が対立する。それは当然であるが傍聴席にいる側からすると真実はどこにあるか知りたい。時には真実を知っているのは傍聴席に座る誰かの場合もある。

 

 映画【三度目の殺人】はそれぞれの立場にいる人の心情を映し出した作品にみえた。犯人が誰とか、理由は何だとかではなくてその瞬間に突然そうなってしまった境遇に対して真実は別のところにあるが自分の力ではどうにもならない状況。社会の中では時に長い物には巻かれなければいけない現実があることを理解させるかのような描写。

 

 比喩として司法というカードが立てられた。そこでジョーカーを引いた人が一人いた。ゲームは始まりシャッフルされ、あらゆる戦略が交錯し勝ち抜けようと皆が模索し最善の手をつくす。一度手から離れたジョーカーは結果としてまた自分の手元に戻って来た。それが最善だと信じたから。

 

 最後まで謎が多く、視聴側の想像だけが独り歩きしてしまった。ひとつ収容者と弁護人が面会している描写はお互いを仕切る透明のガラス一枚だ。この一枚のガラスの反射を使ってお互いの顔が重なり合いながら二人は腹を探り合う。

 終りかけ、弁護人は収容者から心が離れたかのように重なり合っていたように映る顔と顔が引き離されるように後ずさりした。

 

 心情。