職場に向かう、職場の駐車場に入る前にひとつ交差点を、信号機を右折する。
今日はその信号機が丁度赤で足止めをくった。
その交差点、左側からグレー色の服を着た母親とみられる女性が足早に右側に渡って行った。その母親とみられる女性に少し、もう少し距離を置いてランドセルをしょった女の子、低学年のちいさい女の子がなんとかして後を追いかけているように見えた。
私は、職場の駐車場に車を停め歩き始めた。職場に到着する前に小学校を横目に歩く。いつも通りにその道を歩いた。途中、さきほど交差点で見た母親と女の子がさきほど目にした光景と変わらない距離感で立ち停まっていた。母親は足を止め、女の子の方を振り返り
「!!…。」
なにかを女の子に向かって発している。
それに答えるように女の子も
「!!…。」
母親らしき女性に返答しているが、お互いの意見は噛み合っていない様に映った。
私の憶測は学校に行かせたい母親と学校に行きたくない娘のやり取りだと思った。この場所から学校の校舎までは未だ200m程先だ。まだその中途半場な距離で立ち往生が始まり前に進めなくなっていた光景。
私は、足を止めることなく二人を平行に、横目に追い越していき彼女たちが目的地とする小学校を通り過ぎ職場へ向かった。
母と娘の朝のやり取りであったのだろうが、変な話……現代にこの光景を目の前にするとは思わなかった。
学校までの距離
母と娘の距離
娘と母の距離
娘の涙声
母の表情
小学校のチャイムは未だ鳴らない
なにもしなくても朝の時間帯は時が過ぎるのが早く感じてしまう。
あの埋まらない距離をふたりはどう縮めたのだろう。