【非正規介護職員 ヨボヨボ日記】を読んで。
いままで映画でもドラマでも介護の現場が見える様な物は沢山みてきたと思う。
しかし、それはあくまでブラウン管の中、モニターの中、ディスプレイの中の物を見てきただけ。
実際の現場の職員さんからお話を伺ったことは少なく、知人に福祉、介護系に勤める人はいるのはいるが、そんなに深堀出来る程に話し込んだこともなかった。
「本だろ。」
と言われればそれまでだが、現場の方、従事者が書く本は読んだことがない。
この本は字も大きく読みやすいし、ページ数も約200くらいだ。
実際、時間があったから約1日半(時間にすれば4時間とかで)で読了した。
著者があとがき部分で触れている様にこの本には弄便(ろうべん)等は書かれていない。
それはそれ、これはこれではないだろうか。
ある程度の書きたい部分が描かれているのだから十分だと感じた。
全容は短編集のようにまとめ、その回で登場するゲスト入居者の様に一話完結で閉めている。
わかりやすいし、伝わりやすかった。
良い本だと思う。
正直、この本を読まなければやはり自分は排泄も入浴も勝手なイメージのままで綺麗な想像から抜け出せないでいただろう。
全てがこの本のとおりではないだろうし、別の施設等ではまた違ったシチュエーションが日々発生しているだろうがそれはそれ、これはこれだ。
入口とか、覗きたいとか、垣間見るだけでも十分ではないか。
書店へいった経緯は違ったのだが、出口の自動ドアを開けて直ぐ近くにあったベンチに腰を掛け急ぐ必要は全くないのにこの本を裸で会計を済ませ急かされるように捲り、開き読み始めた。
【まえがき】だけその目の前にあったベンチで読み終え「買ってよかった。」と再認識し左側に併設されたスーパーでジャガリコととんがりコーンを余計に購入しそそくさと自宅へ戻った。
いつもの読書とは全くジャンルも違い息抜きにもなった、そういう使い方を著者は望んではないかもしれないが「助かった。」と素直に言える。
最近、息詰まっているような変な感覚もある。
まだ何も起きてはいないが私の父も母も毎年、当たり前に歳を重ねている。
5年はあっという間だった。
5年前は今の2人と違って見えたという記憶がある。
私には時間を止めることは出来ない。
5年前ぐらいから薄々気づいているが親も私も年は取るんだよという現実を理解するべきだ。
知ったかぶりをするのではなく答えも用意し始めるタイミングかな。
知らぬ存ぜぬは通らないだろう。