佐藤さんだったとう思う 母がそう呼んでいた記憶があるから 引っ越す前日に挨拶に来てくれていて二人のその時の表情や雰囲気は今も覚えているがその時で止まっている 逆を返せばそれ以前の記憶は薄い 小学生にあがる前、でも幼稚園で一緒に遊んだシーンは出てこないからそれより前なのか 朝起きて、家の玄関を出て左側に進み最初の十字路を直進して次の十字路の左側に自宅兼クリーニング屋がある その左手に位置する家に記憶上「幼馴染」というカテゴリーは彼しかいない 『ヨウカン』と彼の事をわたしは呼んでいた 味噌のコマーシャルに出演していたかのような出で立ちが印象的で笑う顔は柔らかい記憶がある 毎日彼の家に遊びに行き毎日一緒に遊んでいた感覚がある そんな小さいころに何をして楽しんでいたか詳細に覚えてはいないがテレビのアニメを一緒に観たり、適当に草むらでわちゃわちゃしたりしてあっという間にその時を迎えた 未だ感が働くなんて物が身についていなかったからか、突然ヨウカンがお母さんと一緒にわたしの家に来た 特に気にも止めないでヨウカンとわたしは100%で遊び倒した 脇の方で長々とヨウカン母とわたしの母が談笑している画が残る ある程度してヨウカン母とヨウカンは帰路へ その直前に驚くべきことが起きた ヨウカンが乗っている自転車の前輪が突然外れた そんなことが目の前でおきるなんて当然だが思いもよらず 体が柔らかい年齢だったからかヨウカンは特に大きな怪我もなく、かすり傷程度で済んだことが分かるようにヨウカン母と二人並んで歩いて帰った 次の日の夕方、母からヨウカンはお父さんの都合で大阪に引っ越したという内容を教えて貰った 多分あまり理解出来ていなかった でも、もうヨウカンがいないことは理解出来た 自然とその日からヨウカンの家に向かって遊びに行くことはなかったから 母から手紙を書け、日記をつけろと言われた 大阪という場所に行ってしまったヨウカン宛に手紙を1通書いた 日記というものがなんだかわからなかったが書いてみた 母が言うにはその日に起きた事、感じた事、何をして遊んだかでいいと言われた 書いた 3日目でそのノートを開くのを辞めた 書くことに知らないフリをした 書くことでヨウカンが居ないことが明確に成るのが嫌だったんじゃないのかな 大阪から手紙が来た 内容は覚えていないが差出人は多分ヨウカンだろう
後ろ髪を引かれた三日坊主
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