今週のお題「盛り」
Tさんと初めて会ったのは東京代官山だった。
すらりと細身で高身長、いかにも「この人はモテるんだろうな…」なんて直感で思った。Tさんの愛車はメルセデスベンツのCクラス、白のステーションワゴン。現在も当時も人気の車種ではないだろうか。そして身に着けている腕時計はROLEXの「エクスプローラーⅠ」*1
そんな見た目全開、目を惹く感じのTさん…車内のカーオーディオではいつもJ-POPの”今”を彩るヒット曲が流れていた。
例えばその時代、その時は
Tさんの車に乗せてもらい移動することが多くあった。
毎回乗せて貰う度にこの曲、1度は耳にする程、頻繁に車内に流れていた。
そこから少し時間が経過し、仕事終わりTさんに連れられてみんなでカラオケに行くことがあった。
Tさんは順番はランダムだが必ず【ポルノグラフィティのサウダージ】を織り交ぜた選曲をしていた。時代もあったのかこの曲は思いのほか私たちの周りでは盛り上がった。理由はわからないがカラオケに一緒に来ている人を巻き込み、その曲のサビではとにかく盛り上がる。
みんなで熱唱が当て嵌まる言葉かもしれない。
だいたいいつもカラオケで過ごす時間は「2時間」だ。不思議とそれより短くも、延長して2時間以上滞在することはなかった。
でもこの「2時間のカラオケ」は丁度良かった。物足りなさはなく十分に感じる時間。
カラオケの締めは必ずTさんが歌う。年長者であったからかいつもそういう雰囲気でもあった。
締めの曲は決まって【TOKIOのカンパイ!!】だった。
わたしはこの曲、Tさんが歌うまで知らなかった。
この曲は【サウダージ】とはまた違った色でとにかく盛り上がる。大げさに言えばオーディエンスをとにかく巻き込む。
この曲でピークを最大限に持って行きTさんのカラオケはいつもお開きになる。
私から観たTさんはいつもみんなの先頭に立っている人だった。
顔を合わせなくなり数十年は経過するが、Tさんは今も「盛り盛り」だろうか。