テーブルセッティング。
例えばイタリアン、リストランテでコース料理を提供する際にはゲストが座る席のひとつひとつに料理を乗せるショープレートとカトラリーが準備される。
ショープレートはもちろんその皿のうえに料理が乗るのだから料理の皿をおおうだけの大きさのものだ。
それを取り囲むように右にはナイフ、スプーン。
左側にはフォーク、大小コースに合わせた種類。
この総称してカトラリーだが軽ければ取り回しが良く食べやすいわけでもなく。
重いからといって肉をしっかりと好みの大きさにカットできるわけでもない。
付随してそれをセットする給仕人(リストランテではカメリエーレ)
も同様なことを想う。
軽すぎると綺麗に並べられず。
重すぎることで並べたラインから少し外れてしまう。
東京銀座に所在している銀座アルマーニタワー。
駅直結と地下からその位置まで辿り着くことが可能だ。
そのタワーの4階にはCasaと題する家具等を取り扱ったフロアがある。
いわずもなが、
Casaで取り扱う調度品は10階リストランテ、11階BARプリヴェで使用されている。
このアルマーニCasaが展開しているカトラリー。
ナイフ、フォーク、スプーン等が丁度よい。
理由は”柄”の部分の重量にある。
もちろん大きさ、重さ、長さなど用途にあわせてそれぞれ違いはある。
しかし、ある程度”柄”に支点を持たせる重さを持たせており
人の手の動きに丁度良い塩梅の重力を持たせてくれる。
その取り回しの良さは一度使えば癖に成る。
ゲストがパスタを食べる為にフォークを使用するが
なれない場合はロングパスタをフォークへ絡める際
手古摺る。
それを柄の後ろ側、持ち手の方に重さを置いていることで
手首側へ力が加わり無駄な力が必要なくなる。
これは給仕人(カメリエーレ)にも応用が効いている。
皿を下げる際に使用後のカトラリー(ナイフ、フォーク等)は
皿に乗せ回収する。
この時、カトラリーが軽すぎたり、経験が浅い給仕人が誤って
皿だけに注力し浮かせるとカトラリーが吹っ飛ぶ始末。
ある程度カトラリーに重みがあることで皿とカトラリーを器用に抑え
回収する術が身に着く。結果、粗相がなくなる。
結果論かもしれないが。
テーブルセッティング時にも効用がある。
柄に重みがあることで刺す側と柄の間の一番華奢な部位を持つことで
カトラリーのバランスを取り自然と綺麗にセッティングが叶う。
ゲストが利用する部位に触れることなく衛生的でもある。
ある時この具合の良さに魅了され
ワンセット購入しようとも考えた。
…というよりも贈り物として素敵ではないだろうか。