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彼女への解決は現実社会にあったのか|映画【市子】

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 物語の視点は同棲中の男性。彼が彼女といつもどおり食卓を囲んだ時、バッグから婚姻届けを彼女に向けた。彼女の過去は2つの要因が大きく影響している。現在も、未来にも。彼女の過去を追う彼。未来に進もうとする彼女とお互いの意思が錯乱していく。

 

「僕たちは変わらない朝を迎える」「名前」などの戸田彬弘監督が、自身の主宰する劇団チーズtheaterの旗揚げ公演として上演した舞台「川辺市子のために」を、杉咲花を主演に迎えて映画化した人間ドラマ。

引用:

市子 : 作品情報 - 映画.com

 

 市子(杉咲花)の何かを含んだキャラクターは静かに始まり、徐々に深いものが写し描かれている。彼女が行動をせざるを得なかった2つの要因は生まれてからも、ただ生活するだけでも、既に自分ではどうすることも出来ない理由なだけに歯がゆさという表現では片づける事の出来ない大きいもの。母親が現状を変える行動を取れば市子の人生は替わったのかもしれない。市子は理不尽な境遇に対して自らの倫理観で突き進む。

 個人的な見どころは登場する市子、市子の母に限らず登場人物それぞれが独自の感性、思想を表現しているところ。個々が小さくまとまらず、発言や行動で輪郭が明確であること。

 俳優、杉咲花は映画【湯を沸かすほどの熱い愛】で初めて認識した。当時は学生役で出演しており、学校でいじめに奮起し立ち向かうシーンが非常に印象に残っている。あのシーン、演技を見て注目するようになった。

 当時から杉咲花の演技は巧さを、隠せてはいなかった。