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賞を取る為の演奏と一線を画した奏者|映画【蜜蜂と遠雷】

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「ピアノを選んだら終わりだから…」と彼女は言った 両親は音楽を生業にしているとのこと そんな父母の元で育てられてきたからかは不明だが本人も高校を出た後は東京の音大に行き、卒業するとヨーロッパへ音楽留学したようだ 帰国してからは特にそういった職業に就くことはなく、またそれを醸し出すような感じは一切しなかった 音楽に長けていることを知ったわたしは自分勝手に「勿体ないから少しでもそれに関する職業に就いて音楽を再開すれば良い」と偉そうに伝えたがわたしが知る限り彼女がそのアクションを起こすことはなかった 彼女もまた絶対音感とやらを持ちえた人物らしく凡人のわたしには理解不能な能力だった 雨が降れば雨音が『ドレミ…』のどれかとして耳に、自然に届くらしい 羨ましいと思い無責任に「楽しいだろうね…」と言ったら彼女が返した言葉は『シンドイ時もある』と口にした 幸か不幸かドラマ【SPEC】に出てくる人達のような会話をした 時期的にはドラマ【SPEC】の放送よりだいぶ前の話だ

 

映画【蜜蜂と遠雷】は松岡茉優演じる栄電亜夜が主人公であり、他3人のピアニストが主要人物だ コンクールを舞台にそれぞれのピアノ人生、感性にスポットをあてた物語

エンドロールの2番目は松坂桃李だが、観ているわたしからは2番目に名を連ねるのは鈴鹿央士かと思いきや彼の名前の横には(新人)と記載があったのでデビュー作かと調べたら映画初出演作品だった そんな感じは1㎜もなく年上の異性が「かわいい」と表現しそうな柔らかい表情で天然キャラを深く演じていた ストーリーにつきものの天然で天才なキャラ設定をうまくやり切ったと思う 今年見た筈のドラマ【silent】での彼の演じたキャラは個人的に好みではなかったがこの作品の演技力は生意気にも失礼に当たるかもしれないが感心させられた なんというか漫画【ピアノの森*1をフラッシュバックさせた役所 ピアノを演奏している奏者を独特の雰囲気で魅せ、伝えている

 

ストーリーの中で手元を映さずに役者があたかもピアノを弾いているかのように見せるカメラワークはしょうがないとして、松岡さんが前半でピアノを弾いているシーンを背後から魅せるカットは良かった ドレスの背中がU字のように空き、演奏する為に使う筋肉の動きがリアルを生んでいた様に思う クライマックスのシーンもこの形でいけばなぁ…と 後半勝負所では失礼だがなぜ?その衣装、ドレスを選んだのだろうという言葉が出てきてしまった すごく惹かれた背後からのピアノ演奏シーンが勿体ないに変わった

 

松坂桃李はいつのまにか安定した役者に映っている 次から次へ新しい作品に登場するのはやはり実力だろう 過去作で古田新太との映画【空白】も内容としてはだいぶ社会問題に触れた作品だが生々しく演じていた 非常に心が痛い”嫌な”役柄だろうがその役そのもののような見え方をしていた この時の寺島しのぶさんは怪演過ぎて怖すぎる役だが、現実にいそうなキャラでもある為により恐ろしく見えた

 

審査員側に重鎮・斉藤由貴さんがいた いまだに”ひょっこりはん”するのは演技力なのだろう 今回もあまりストーリー的には関係ない役なのに雰囲気が重い伝わり方をしていたのでキーになるのかと思いきや特にそんなことはなかった 一昔前にスキャンダルで相手側の一般人男性のコメントを思い出してしまった…「デビュー当時からファンでその対象が目の前に居合わせたことで止まれなくなってしまった…」※一言一句一致している内容ではありませんが、確かそのようなニュアンスの事をコメントしていました※ …元AKBの峯岸さんと旦那さんの馴れ初めとは少し違うが陰と陽なゴシップとして比較してしまったな

 

関係ない感想が多く出てきてしまったが、終わって観れば…同名小説が映画化されたという作品 小説等の映画化は毎度片隅で思う事だが所感で一癖ありだ

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*1:森に捨てられたピアノ......そのピアノをオモチャがわりにして育った少年・一ノ瀬海は、かつて天才の名をほしいままにしながら事故によってピアニスト生命を断たれ小学校の音楽教師になっていた阿字野壮介や、偉大な父を持ち自らもプロを目指す転校生・... Google Books 初版発行: 2005年4月 著者: 一色 まこと ジャンル: 漫画 引用:google.com