タイミングはいつだったか思い出せない
それを大人びた行為だと思っていた
映画やドラマのワンシーンで誰もが目にする
松田優作が演じたそれも映像があったはず
【髭を剃る】
電気シェーバーを未だ持たない年齢の時に
髭が気になりだした
不思議なことに
髪の毛が伸びる事に違和感はない
…が髭が伸びることは
不自然に感じていた
とりあえず見様見真似で
シェービングクリームを
適当にのせ、塗る
その後はT字剃刀で
対象の場所に生えているだろう
髭を剃っていく
自然なことだと思っていたし
その後に対処した場所が赤く、
ヒリヒリするとは
思ってもみなかった
人よりも”肌”が弱いらしい
改善案などその当時は
持ち合わせていない為に
同じことを繰り返しヒリヒリするが続けた
髭を伸ばして
得をする環境にはいなかったから
ある程度の年齢までそれが続き
いつのまにか
コンビニ等で販売されている
T字剃刀からとってかわり
簡易的な
電気シェーバーに道具が変化した
T字よりは処置後の肌感はよくなったが
あくまで応急処置のようなものだ
結局の所、違和感はなくならない
シェービングクリームを
使用する必要がなくなったことだけが
大きなメリットだった
前に進めた様でもあるが
嫌悪感はなくならなかった
日常、日々繰り返される
この行為はいつも当たり前すぎて
…その時がいつ来たのか?
なぜだったのか?
未だに明確ではない
時代背景は
ワインで表せば
「BIOワイン」が流行り出していた
ラ・シーヌというインポーターが
送り出す
自然派ワインが話題に事を欠かず
大盛況だった時だ
1本印象的な白ワインをあげれば
イタリアの造りて、
ニコラ・マンフェラーリ
ワイン名は
ミッレウーヴェという
”千の葡萄”
という意味の銘柄だった気がする
造りては確か、歯科医であり
その当時の最新鋭の機器を使い
ワインのセパージュ比率を確定し
瓶詰するらしい
…ということは毎ボトリング、毎年
ぶどう品種の比率が
明確ではないという事実
しかし、
「非常に奥深く美味しい白ワイン」だった
客受けも盛況だった
その頃に理由は思い出せないが
フラッとビックカメラへ
場所は新宿三丁目付近
目的はただひとつ
髭を剃る為の
電気シェーバーだ
わたしはあまり
接客されるのが好きではない
乗れる日とそれに乗れない日が
気分で変わる
いつも、毎回は無理だ
そんなことを第一に頭で悩み
本来の目的の髭剃りについては
あまり事前情報を持たずに
売り場へ向かった
遠目からでも
電気シェーバーコーナー付近に
既に店員さんは2人程確認できた
この時点でもう「あぁ…接客される…」と
内側で嘆いた
それでも足を前に進め、電気シェーバーを
買い求めに足を運んだ
わざわざ来た結果を残すベく
商品に近づく
可能であれば接客されずに
放置を願いたいところだが
無理な話だ
そこでの第一声は
『肌、弱そうですね、…弱いですよね』
『多分、剃刀に負けること多いのでは?』
とのっけから正解と
人の裏側まで入り込まれた
未だ会話すら交わしていなかった店員さんが
わたしの顔を少し離れた距離から観察し
近づいて来られただけで
肌質と髭剃りの関係性までを
明確にした
ここではもうわたしは
「Yes」
としか答えようがなく
現実的に言われたそのままの歩みなので
しょうがない
そして店員さんが推してくれたメーカーが
【Philips】
なんとなく直ぐ頭の中に
イメージできる人も多いと思うが
丸を三つ三角形に繋げたデザインの髭剃り
その丸いひとつひとつの箇所が
電気シェーバーになっていて
髭を剃ってくれるタイプの商品
これしかないと言わんばかりの説明を受けて
わたしは素直に購入した
過去に髭剃り負けに対して
味方になってくれた人など
いなかったから
とても心強かった
それでも、半ば半信半疑で家に帰り
翌朝、
さっそく【Philips】のソレを使ってみる
!!!
「痛くない」
それだけで感動したし、
しかも深剃り出来ている
痛みなく深剃りし、
納得のいく処理が行われている
心底驚いた
ほぼ諦めていた顔の髭の処理
終わってみればたったそれだけ…
しかし、
あの店員さんでなければ
【Philips】
ではなかったかもしれない
別のスタッフさんに接客された場合は
違った製品を”売られて”しまった
可能性も0ではない
この時ばかりは
店員さんがいてよかった
と言い続けられる
もう
軽く10年は経過した出来事だ
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