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KYTにて改善

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今週のお題「大発見」

 

 某企業では月に2回程KYT*1が実施されていた。

 

 班ごとに班長が指揮を取り、一連の作業工程の中から気になる工程を一か所選びコンパクトデジタルカメラを使い一つの工程の作業を動画に納める。その録画された作業内容を班に属する社員、期間従業員派遣社員全員で確認する。

 その動画を観た後は録画対象になった作業員と動画を撮影した班長を除き、順番に危険と感じた箇所とその改善案を順番に発言していく。

 録画された動画の再生はコンパクトデジタルカメラのメモリー(SD)カードに記録されている。その記録媒体をコンパクトデジタルカメラから法人用パナ社ノートパソコンへ差し替え、ノートパソコンの小さいモニターでKYT対象の録画された動画を視聴する。

 

 ここでひとつ問題が発生。

 撮影された動画を再生するノートパソコンが非常に古くメンテナンスやリフレッシュがされていない状態で長年使用されていることから保存データの蓄積が不明ということだ。データ量も過剰なことが予想される。併せて再起動や、未使用の際に電源を落としたりしている様子は皆無だ。原因は前述したこととしか思えないがKYTで録画した動画が再生されずに約30分はデータを読み込むことに時間を失っている。その間、動画を視聴する為に集められた作業員一同は特になにもせずに待つだけだ。

 

 時間の無駄…

 

 しかし、誰も改善を提案、試みる人間はいない。

 

 成す術もなく立ち尽くす作業員の中の一人が行動を起こした。

 

 再生できずにいるノートパソコンの頭上、少し高い位置に…

 50インチ程の大型モニターが壁に設置してある。

 このモニターを使用しているのは見たことが無い。

 

 なぜ?このモニターを使って先ほど撮影したKYT動画を流そうとは思わないのだろうか。不思議だ。しかも未だ動画を流す為のノートパソコンは記録媒体を読み込んでいる最中なのか画面上に映る白いカーソルが青い円を描きぐるぐると回っているように見えた。

 

 …時間の無駄だ。

誰も何も言わない。

 

 いつもは多くを語らない作業員の一人が班長に提案をした。

 

 壁に設置してある50インチ程の大型モニターとコンパクトデジタルカメラHDMIケーブル等で接続出来れば、録画した動画を再生できるのではないか…という内容を班長に伝えた。内容がうまく伝わっていない雰囲気だが、要はノートパソコンの読込み時間が無駄で現在も再生できずにいる。これを回避し生産性を止めない為にノートパソコンは使わずに目の前、壁に設置されている50インチのモニターとコンパクトデジタルカメラを専用ケーブルで接続し再生したほうが…と提案した。

 

 …試してみる事になった。

 KYT用動画を撮影したコンパクトデジタルカメラはそこまで機種が古くない物であり、50インチモニターも近年設置された機種のようだ。特に支障はなくお互いを接続することができ、問題なくKYT用の動画は再生された。

 

 事なきを終え定時退社と成った。

 

 解散する間際に班長は、改善提案をした作業員に

「…電気屋さんの経験あるんですか?」

と言ってきたようだ。

 

 他の作業員は

『大発見だね…』

と称賛していたらしい。

 

*1:危険予知トレーニング(KYT)とは、職場での労働災害を予防するために、メンバー全員の危険意識を高め、職場の危険源を対策・低減するトレーニングです。引用:Google.com