約100年前の喜劇映画フィルムをデジタル化出来たことでお目見えすることができたという そして”活弁士”なるものを堪能することができた 東京国際映画祭2023 行ってみるものだ 初めて参加するイベントでスケジュールを見れば少し変わった物が演目にあった 『山崎バニラの活弁小絵巻2023』なんとなくイメージするものはあるが実際に拝見したことはない 世に映画が生まれた間もない頃の喜劇作品、音が無い映像を観る無声映画の時代、写真が動くことで活動写真と呼ばれていたらしい映画にオリジナルの脚本と声や音楽を加える創作物 それを担うのが”活弁士”とのこと
この演目は山崎バニラさんが一人で3本の無声映画へその活弁をする作品
声の特徴、高さに反射的に驚かされたが、演目中の器用さにも圧巻だった
活動写真が流れるスクリーンの左隅、または右隅で楽器を使い音をBGMや効果音にして吹き込む その合間にはセリフではなく、いまでいうところのアフレコ 声や表現を瞬時に変え、ストーリーを成立させていく 客席は豊かな笑い声で温かい空気が流れていた 大半はその活動写真に目を向けていたのは当然だろうが、わたしはスクリーン4くらいにして残りの6割は山崎バニラさんの動向を伺っていた 五体をフル稼働させ器用に演じられていく様は魅入った 琴の電子版のような機材にもうまくリアクションが取れなかったが演目中の忙し過ぎる動作と言ったら…右手はクラブDJがスクラッチする時にツマミをフェードを繰り返すように動き、左手はピアノを弾くように指と手が流れるが台本、脚本も捲らなければいけない 時には効果音と成る笛を口先に咥え音を入れるが何役もこなす声で映像の俳優たちの替わりに声も変化していく さながらボーカルから始まり、ギター、ベース、ドラムをひとりですべてこなすバンドの様だったうえに語り部でもある 「凄い。」
3本用意された無声映画は
どれも不思議と厚みがありあたたかい印象の映像 比較するのは変だが現代の映像の方が冷たくみえてしまう スタントマンなど、CGもない時代にソコまでやるかというシーンが盛りだくさんでそこはさすが喜劇王と称されている以上の作品だ 終始、会場を柔らかい笑いでつつませたのは”活弁士”の腕なんだろう まさかの子供連れ、子供本人さえも笑い声が大きくなっていた 小さい子が理解出来て笑うところまで行きつくのは失礼だが意外だった
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