サワという女の職業はホームヘルパー。訪問で通う、ある一家の事情に巻き込まれ一切を失う。サワは生きる、喰う為に後期高齢者への配慮を武器に老人たちを転々としていく。サワと老人達の不器用な生活は遠回りするが、お互いに歩み寄っている。サワの気づきは最後、金か心か。
主人公(サワ):安藤サクラ
第一老人(シゲル):坂田利夫
第二老人(マカベ ヨシミ):津川雅彦
俳優・奥田瑛二の長女で映画監督の安藤桃子が、実妹・安藤サクラを主演に起用した初の姉妹タッグ作品で、自身の介護経験から着想を得て書き下ろした小説を映画化した人間ドラマ。
引用:
作品の中で描かれる主人公サワ(安藤サクラ)の境遇と行動は映画だから可能な設定であり現実的には難だがリアルを追求するには十分だと思う。理不尽、直面する出来事。安藤サクラの演技は役が生き、個性が凛としている。
登場する老人達を演じるキャストが名優ぞろいであることで物語が薄くならずにインパクト大だ。シーンが映り替わる度にメリハリがある。坂田利夫の演技は素晴らしく老人の生活をリアルに面白くみせていた。さすが喜劇王だと勝手に感じた。
津川雅彦演じる老人は自宅で妻が寝たきり、ホームヘルパーをひとり訪問させている生活。うっすらと自分自身が認知症に患い始めていることへ向き合っている。建前を余計に必要とせず、人格者である役を匠に表現する演技力はとても好意的だ。
作品後半、暴力的なシーンも少なくないが要点を映し出すには不可欠なのかもしれない。