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倫理観、感性、人生観は皆違うよ。|映画【小公女】

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小公女はアニメで放送されていた。小学生の頃だったか晩御飯の時間だったかTVで19:00ぐらに放送されていたかな。姉が書籍で読んだような話を母と共有していたのを尻目に私はTVに映る小公女を眺めていた。

それとは勿論内容が一致すような作品ではないがタイトルは小公女。

少し頭を過ぎったのは”あしながおじさん”でもあるがそれもまた違った。

主人公ミソは「ウィスキーとタバコ」を愛する女性。彼がいることはあまり周囲には漏らさない。経済、物価の値上がりにより住むアパートの家賃も値上げ告知され考えた末に退去し放浪を始めた。あてがあるから取れる行動でもあるだろうがあてもなければ困難はわかりきった動き方だ。

 

おばさんから始まり、大学のバンド時代の仲間の家を転々とした。これが出来る人は本当に尊敬するなと私は思う。いつのころからか私は人様の家で次の日を迎える事がストレスになって行った。ストレスかそうでないかは紙一重な部分でもあるがなんとなく素直に喜んで泊まる、泊まらせて頂くことが無理になっていた。酒を酌み交わせばそういったシチュエーションになることが起きてしまうがそこからタクシーを使ってでも自宅に帰る。駄目なら漫画喫茶というように、その時一緒に時間を過ごしている仲間かもしれないが御宅へ宿泊させて頂くことが難儀である。だからこそ主人公ミソの自分が住まいがないから旧友を頼って手土産を持ち少しの間住まわせて貰う、期間は塩梅だみたいな動き方は羨ましくも映る。

 

しかし、最後に頼ったバンド仲間、大学時代の先輩の家に長期滞在していたことで歪が生まれた。大学時代の先輩ジョンミは結婚し裕福に生活をしていた。そこにミソが現れ好意で泊めてはいたが、ある晩のディナーで旦那さんが煙草を吸いに席を立つとミソも純粋に喫煙者だからこそ連れモクをしに席を立ってしまうが先輩ジョンミとしてはマナーを汚された。この後に2人(ミソとジョンミ)はその時のことについてお互いの倫理観のズレをぶつけ合うがどちらも間違いではないがミソの現段階での立ち位置としては良くなかったかな。およそ感性とか人間性、流儀の問題でもあるだろう。

 

長年関係がある彼かどうかはわからないが工場勤務で寮に住まう彼は自分がふがいないこことで彼女:ミソと同棲できずミソが放浪し男性宅にも寝泊りしてしまうことに自分を攻めてしまう。後に徴兵が、辞令が来てサウジアラビアへ…と成るがここは男女間というか、ここも感性のズレだ。ミソは今のままで良かった。「ウィスキーとタバコと”あんた”」があればいい。彼は借金を返し家を買い…と未来を動かした。埋まるのか生まない溝のような男女間のズレ。

 

後半、最後の方に最初に泊めて貰ったおばさんが映り枕元にあるウィスキーのボトルがグレンフィディックだった。この映画を通してウィスキーの銘柄を移す描写はそのシーン1回きりだった筈だ。であればミソがいつもBARで呑むウィスキーはグレンフィディックではないだろうかと推測した。グレンフィディックシングルモルトの中では非常にメジャーな銘柄であるが銘酒だ。若い熟成のスタンダードしかり、熟成眺めな値は張るだろうが18年、25年くらいの銘柄は1杯だけ飲むなら選ばれ、1杯で納得できるウィスキーだ。スタンダードは12年ものだろうからスコッチカクテルのロブロイのベースとしてグレンフィディックを贅沢に使用してもユニークだと感じる。仕上がりはバーテンダーに委ねる面白さとして、この時期色合いも含めベストなカクテルかもしれない。ロブロイ。

 

幕が閉じるのを感じさせる終わりに向かうシーンでミソは仕事も追われ、次の家事代行職で収入を得て、またいきつけのBARにいるカットがある。窓際に座り、外を眺め右肘側は外気の冷たさが伝わるガラス窓に腕を寄り添い、左手にはウィスキーが入ったシングルモルト用のグラスを左手で掲げている。外は雪が降ってきている情景。この作品のはじまりでミソがBARに払ったウィスキーの金額は『2000ウォン』、後半に終わり掛けにBARを後にする際にカウンターへ支払いを置いていったお札は『4000ウォン』だ。バーテンダーがBARの家賃の値上がりでウィスキーの値段を上げたんですとミソに伝えていた金額が2000ウォンということになる。単純に2倍も料金が上がることでミソが金銭に苦しんだ生活がわかりやすく映るのかもしれない。途中、ミソが好きな煙草の銘柄ESSEも値上がりしいつもと同じ金額で買えなくなり、タバコ屋でいつも同じ金額で買える銘柄に吸うタバコを替える。

 

最後までウィスキーとタバコの値段、家賃と映し出すものが分かり易くだからこうしているんだよ…というミソの頑なさが伝わる作品だった。いつも邦画、海外作品は米またはヨーロッパしか選ばない観方だったが思いもよらず素敵な韓国映画が観れた。

 

 

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