茨城県水戸市にあるJR水戸線のホームに立ち食い蕎麦があった。
立ち食い蕎麦はどこにでもあるわけでもないので貴重に感じてしまう。
食券機に表示されていたかけそばの値段は410円だった。
少しL字型の店内。
東西どちらからも出入り可能だ。
水をセルフで用意し、蕎麦の出来上がりを適当な空いているカウンターで待つ。
立ち食いで可能な総数は大人9人が限界といったところか。
少し蕎麦を調理する様子を伺っていると、従来の立ち食い店と違っている箇所はやはり”ツユ”の仕上げだろう。
茹で上がった蕎麦を器に入れドリンクバーの様な機械に置く。
ボタンを押すと適当な量の”ツユ”が流れ出し規定量で止まる。
そこにネギを盛ったら完成だ。
「”ツユ”をひとくち呑めば暖かく
蕎麦を口に運び
すすれば太めな食べごたえ
盛られたネギが多めなことで
得にも感じた
七味はいわずもなが」
神妙、蕎麦屋に並ぶことよりも
立ち食い蕎麦に出逢うことが
贅沢に想う。
父だったか、だれだったか【きそば】と言っていた。
駅のホームで食べることができる立ち食い蕎麦。
それを【きそば】と。
駅そばがなまって?短縮して?駅そばから”エ”が抜かれて【きそば】にでもなったようにわたしが勝手に受け取っていたのか。
忘却の彼方。
生そば 生蕎麦
語源をかえせば生と蕎麦
こうとらえてしまえば十割蕎麦にも聞こえてしまう。
はたまた打ち立て、切りたてであり機械の手が加えられていない物。
言葉自体が生まれた頃は勿論手作業な様子だ。
「きそば」という名前の由来は、蕎麦粉を純粋に用いて作られた蕎麦を指します。「生蕎麦(きそば)」は、つなぎを加えずに蕎麦粉のみで打った蕎麦を意味し、江戸前期にはすべての蕎麦が「きそば」でした。また、蕎麦屋の暖簾に書かれる「幾楚者」は、変体仮名を用いた表記で「きそば」と読ませるものです。
参考、出典:
蕎麦屋の暖簾に書いてあるあの難しい字・・・なにあれ?=Sobapedia= | 出張そば打ち体験~SOBAUCHI 楽常~
私が子供の頃、なじみの駅ホームには当たり前に立ち食い蕎麦があった。
しかもテイクアウトが可能であったことが今思い返せば時代の代物。
田舎の下り電車の始発駅にあった立ち食い蕎麦。
テイクアウトするとプラスチックで出来たイベントで使用するような白い器に蕎麦を盛ってくれ手渡してくれる。
当然、割り箸は自分で取らなければ食べられない。
七味はお好みで。
それをまだ時間調整の為、停車している電車の席で座って食べる。
その時代には当たり前に目にしていた光景もいつからか失われた。
今、それを目にすると違和感があるのだろうか。
たいていは電車が発車するまで約10分以上あったので完食はしていたように思う。
下り電車は45分に1本の間隔で来る。
時折、電車が発車しても食べ終えていない子もいたように思い返す。
あー…
匂いが車内に充満するので”スメハラ”か。