購入した理由は過去に読んだことのないジャンル。新たな言葉、文章をなぞることで新たな刺激を受けたかった。聞き慣れない言葉が表紙に書いてあり「現代」というワード。「思想」とくれば違ったアイディアを得られるかもしれないと感じたからだ。
【エスノグラフィー*1】ということで既に立ち止まりもしていたが読み進めることでそれはクリアでき納得のいく解釈が生まれると思ってもいた。ページをめくれば専門性が高く、文字も小さく、難解である本だということは容易だった。あくまでも私、個人にとって。とにかく噛みくだければと願った。そして出した答えは潜入取材というところからもう一歩も二歩も越えて体験入店のようなことで終わらぬようディープに浸かることなのだろうか。
苦しくも、長く読むことにとても時間のかかった本になった。この本の最後の最後の方に向かった時に少し立ち止まりがあった。立岩真也さんという社会学者について追悼するページが多く続いた。あたりまえに初めてお目にかかる内容であったうえ、この社会学者についても特に情報を持っていなかったが関係者たちの追悼ページを読む事でわかったのは福祉において常に走り回った方なのだなと感じた。何かが動くとき、変わる時、始まる時は必ず誰かが行動して結果があるからそうなっていることは頭の中では理解できているが日常ではやはりその部分はぼんやりしている。映像でも文章でもなにか触れる事でやっと現実に触れ始めている気になる。
情報を取りに行くことが正解か。
待っていても取れる情報は別物なのか。
私は短期間だがALSを患う方の介助をしたことがある。
交わした会話の中で…
「福祉の情報は取りに行かなければ得られないから…」
と彼女は口にしていた。
この本の終わりのおわりでは、【哲学者カール=ポパー】に触れている。内容としては「客観的世界」「主観的世界」「相互主観的世界」と難解な文章が多く続くが嫌いではない自分がいる。つきつめたい気持ちはあるがそんな低いハードルには映らない。本を手に取ったことで知り、新しく得たというだけで御の字だ。
参考、出典:
現代思想9
生活史/
エスノグラフィー