今週のお題「大人になってから克服したもの」
キッチンの3番手にいたナチュラルな天才と称されていた聡美さんに進められて飲んだのが生まれて初めて口にした炭酸水【ウィルキンソン TANSAN】白っぽく見える瓶にはそう表記されていた。銘柄は赤い色で。
「たまに飲むとさっぱりするよ!」
とすすめられ1回目口にした時は…
『!!味がしない?ジュワッとだけする…』
だった。
その後繰り返し【TANSAN】を口に運んでいくと慣れてきたのか、欲するようになっていった。口が、口内が洗われる感じもしていた。ただただ水を飲むよりは気分が切り替わる様な雰囲気もあった。
中毒性があるようなその強い炭酸はやみつきになった。いつのまにか気づけば【ウィルキンソン TANSAN】を選んでいた。まだまだコンビニやスーパーには出回っていない時代。ましてやペットボトルタイプなぞ皆無だ。酒屋、BAR、レストランで目にすれば良い方だろう。
他の銘柄では感じることが不可能なほど強烈な印象が残ったジュワッとした炭酸。
その強さは歯茎をも綺麗にしてくれる感覚だった。
その時代、客席ではペリエを頼む淑女。サンペレグリノをシェアするヨーロッパ人。西麻布交差点付近は別の世界に映っていた。良くも悪くも【TANSAN】は労働者の飲み物の様にも、ボヤケテ見えた。ライムを絞ったグラスに注ぐペリエ。スライスレモンを浮かべたサンペレグリノ。乾いた喉を潤す為に直接口に運ぶ瓶ウィルキンソン。
飲食店と外苑西通りの間には輸入車ばかりが並び、目移りしていた時代。