前に進むための場所

過去の掘り起こしを未来に繋げる

話しかけている、語り。【トラディション:鈴木涼美】

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 読み終わってみても腑に落ちなかった。

最後は飲み込むことが出来なかったから2周目に入り、また読んでいる。

物語のナレーターが紹介するような雰囲気を感じ、客観的に横目で見て追って行く感じがずっと続いた。

 文学を説明することがいまだに叶わない私には程遠いのか。

ただ、流れるような文章が好きで追っているにすぎない。著者の書く物は世代が近いのもあってか惹かれる。

過去、たまたま手に取りレンタルしてきて観た映画が著者の関連する作品であった。その後は偶然、雑誌での連載ページが目に入り無意識的に手に取り、読んでいることが多々。

 くだらない余談だが著者の作品をいやらしさからBOOKOFF等で探してみるフリをしてみた時にいつも見つからない、正確には棚に並ばないのは?なぜだろう…と思ったことがある。

売れているからか…

売りに出す持ち主がいないのか…

保管する所有者が多数…

 脳のどこかで、片寄せして

「あったらラッキー…」

などとめぐらせていたが出会うことはなかった。

変な話、ある程度の書籍というのは待てば目に入ったりするのが常だという勝手な解釈があったのだが。

 

 【トラディション】はキャラクターが居る場所の情景が把握できるような書かれ方を強く感じた。描写が綺麗だとでも言えば良いのか。飲食店のレイアウト、水商売の雰囲気を繊細に伝えてくれる。語る側と語られる側の情景も。

 

 私は読み進めていく上で「祥子」を揶揄していると感じ、それが最後まで続き、しかし最後には「自分」を揶揄していたのではないかと捉え読み終えた。でもそれは不完全燃焼でコトが閉じ、その時の私のスケジュール感上で急ぎ読み終えたからそうなってしまっただけのようにも成っているので読書再開の今日。