今週のお題「懐かしいもの」
子供の頃、小学生の時期だけ野球少年だった。
近所で遊ぶ相手、年齢が1個上、2個上が多かったからか。
住まう地区には日本ハムの工場に勤める父母を持つ家族が沢山居たからか。
とにかく学年が2つ上の、5、6人の野球仲間のような集いに歳が2個下の私はいつも呼ばれて参加していた。仲間に入れて貰っていた。
この頃の小学生が集まれば公園で草野球をやるか、仲間内の都合がつく家でファミコンを囲み、遊ぶカセットは「ファミスタ」、「燃えプロ」、「甲子園」、「ベストプレープロ野球」、「ハリキリスタジアム」などネタがつきることはなかった。それぞれがお気に入りのチームを決め各々が対戦していった。
夕飯時に成れば各自、解散し家に帰る。
夜になればニュース番組のスポーツコーナーが待ち遠しかった。
その日のプロ野球ニュースがダイジェストでまとめられて放送される。
リアルタイムで観るよりも、好プレーが瞬時に飛び込んで来て子供だった自分には最高の瞬間だった。
新聞のスポーツ欄を観察するのも楽しみのひとつ。
特に三冠王に関わる打率、打点、ホームランのランキングを見るのは興奮した。
現代でも野球チームを短縮して表現する場合、アルファベット表記が使用される。
例えばGならジャイアンツの略。Wならばホエールズ。(今は無き大洋ホエールズが存在した時代…)
当時は他のことには一切、目もくれず野球、野球だった私なので新聞のテレビ欄を眺めていても前述した日本のプロ野球チームのアルファベットに反応してしまう日々だった。
そんなとき、季節はいまと同じような5月の頭。
世の中はゴールデンウイークに入り、テレビ番組もゴールデンウイーク特集が多く組まれ放送されていた。新聞のテレビ欄もタイトルの頭には大抵がゴールデンウイーク特別番組のような書かれ方がされていた。
そんな折、単細胞な小学生の私は新聞のテレビ欄を眺めていると
【GW特集】
と頭に書かれた番組が放送されるのを発見した。
だと強引に解釈した私は心躍らせた。
親にこの番組は絶対観たいからよろしくと、その時間帯のチャンネル権を直訴したくらいだ。興奮していた。
勿論、その番組は野球番組ではない。なにかのゴールデンウイーク特集でしかない特番のひとつだった。両親も私が固執しすぎるあまり変に思ったのか、その番組が始まると
「なにを期待しているの?」
と聞いてきた。
その時になり、やっと私は目に映るテレビ番組が
ではないことに気づき、絶句し、終始無言になった。
父は晩酌がてら、笑っていた。