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【青豆は石油ストーブの上で|毎年恒例のおふくろの味】

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今週のお題「マメ」

 

  1. 鶏もも肉の唐揚げ
  2. 醤油と砂糖で味付けした卵焼き

おふくろの味はこの2つだと思っていた。幼少期の運動会、学生時代に持って行ったお弁当箱の中身は決まってこれだった。

 

しかし、よくよく考えてみると母が作る唐揚げと卵焼きは近年、口にしていない。

 

年末、大晦日が過ぎて新年の食卓には必ず【青豆】を醤油で煮たマメ料理が添えてあった。

勿論、今年もみんなでそれを平らげた。

 

この【青豆】は通年スーパーで手に入るらしいが実りの塩梅が良いのは秋の終わりから年末にかけてが良とのこと。一度、時期を外して同じように調理してみたがマメの状態があまり良くないのが分かってから仕込むのは年末だけと決めたと母が言っていた。

 

昔、冬場実家では石油ストーブが常設されていてその石油ストーブの上には醤油で味付けされた【青豆】が鍋いっぱいにかけてあった。現在は石油ストーブを使用しなくなった為、台所で煮込んでいることの方が多い。

時間をかけて煮込まれた【青豆】はよく味が染みていて後を引く。

年始に食べる用に仕込むので年の終わり、大掃除の傍らで調理している。

基本的にはマメだけでお皿に盛り付け提供されるが、時折数の子が一緒に和えてある。どちらも優劣はつけ難い。

父はいつも無言で平らげる。

 

思い返せば小学校低学年のお正月、三が日は母方の実家へ泊りに行っていた。その時は祖母が同じように【青豆】を石油ストーブの上で煮込んでいるのを目にしていた。

祖母はいつもストーブの上にかかる鍋から直接皿に盛り付けていたのを覚えている。

このマメ料理は今、私の姉にも引き継がれている。

 

一度、不思議な体験をしたのは高校の修学旅行で中国に行った時だ。

夕食事にクラスメートと円卓を囲みテーブルいっぱいの料理を眺めていると、見たことあるマメ料理が目に留まった。

私はすかさず取り皿に盛り付け、慌てる必要もないのに急いで口にほうばった。

「味付け、食感までほぼ同じ」

「なぜ?中国でこのマメ料理が出てくるのか...」

隣に座る友人には伝えてもあまり関心はないだろうから自分だけに留めた。

 

修学旅行が終わり、自宅に帰ると飲み込んでいた不思議を母に伝えた。

予想に反して話はあまり膨らまなかった記憶がある。

偶然にも日本ではない土地で祖母から受け継がれているマメ料理が味わえたのはとても感慨深い。

 

既に叶わぬ話だが、祖母にこの話を伝えることで何かしらを引き出せたかもしれない。

 

子供の頃に食べた【青豆】と今を比べると年々、少しづつマメの状態が柔らかくなってきている事に気づく。温暖化の影響が要因だろうか。

 

温度が低め、少し引き締まったぐらいのマメ料理を暖かい部屋で摘まむことがおふくろの味だったようだ。